北海道佐呂間町を事務所と札幌市のアトリエを拠点に、北海道を代表する建築家・五十嵐淳のサイト。建築紹介、住宅設計・新築・マイホームに関するご相談などにも応える。

jun igarashi architects
illustration by Midori Kambara
© 2002-2009 Jun Igarashi Architects

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大石くんのオルドスレポート⑥


大石くん、6日目のレポートです。
藤本氏の「地球改造」と言う表現。
そして大石君が感じたオルドスの風景。
中々興味深いです。

Day 6 (29th June)

オルドス最終日。昨日の夜遊びは、
一番の若者であったはずの僕にもかなりの披露で、
今日はどうにも頭が働きません。
絶対行こうと思っていたラクダツアー
(すいません五十嵐さん。こんなことばっかりで)も、断念致しました。
朝7時出発とかだったので。ということで、
今日は五十嵐事務所に送る写真のデータ整理をすることにしました。

オルドス最終日

昨日の酔いが尾を引いて、
気持ち悪さで目が覚めたのは5時くらいだったでしょうか。
眠ろうにもどうも気分が悪い。
もうこうなったら起きていようと腹をくくって、
データ整理をすることにしました。
1作品ごとに1フォルダ造って、
そこに各作品のパネル・模型の写真(合わせて5枚程)を入れていく。
それが全部で72フォルダ。なかなか途方もない作業でした。

朝食は気持ち悪くて食べられなかったものの、
昼前にはさすがに空腹が勝ってきて、
設計の報酬を受け取りに行くついでに何か食べようと考え、3階へ。
受け渡しをしているらしい部屋を見つけて中へ入る。
若い日本人ってとこが注意を引いていたのでしょうか、
もうしっかり覚えられている様子。
あなたねという感じで、スルスルっと書類を渡されました。
お金もサラっと渡され、あまりの事務的雰囲気に流され、
ざっと数えて、チョンっとサイン(Jun Igarashiと)をして受け渡し終了。
間違っていなかったからよかったものの、あっさりとやりすぎました。

受け渡しの時、KAZさんに会ったので、
遅めの朝食、Branchとしゃれこみました。
食べたのはサンドイッチとフライドポテト、
・・・もう普通の食べ物が恋しくなっていたので。

二度の会

14:00、ホテル出発は18:00過ぎ、出発までは時間がある。
データ整理も終わって、体調も復調していたので、
もう一度街に出てゲテモノでも探そうと思い立ち、
荷詰めやら準備を初めていた時、KAZさんから電話が。
なんでも関本さんが部屋に来ていて、
写真を交換しようということになったらしい。
お世話になったお二人の提案、僕も写真ほしいし、行くことに。
町巡りの時間は取れるかどうか。
1階のホテルのロビーで、差し入れに飲み物を買ってKAZさんの部屋へ。
KAZさんは部屋でフルーツ盛り合わせをオーダー。
ちょっとした晩餐会ノリになって。楽しいひと時でした。

16:30ほど、写真交換が終わるころ(MacだのSDだのと意外と手間取って)、
藤本さんからKAZさんに電話。
今度はどうも、クライアントが食事会を開いていて、
お話をしたいと言っているから、参加した方がいいよとのこと。
こういうイベントが突然発動することにはもう慣れていましたし、
急いで自室に戻り、クライアントと話すとなるとと考えて、
持ってきた自分のブックを手に、専門家ではなく、
クライアントには、どう話したらいいものかと考えながら2階の大食事会場へ。

ん?そこには、いつもの夕飯の風景。
藤本さんと落ち合うと、ブックを持った僕に不思議そうな顔、
何でそんなの持ってきたの的な質問が、・・・あれ?そう来る?
どうやらただの夕食だったみたいです。
僕が間違ってたみたいな結末ですが、どうもしっくりこない感じでした。

その後の食事は、コンドルさんと、タイ人の二人組、
中東のどこか出身と思しき人たちとおしゃべりしながら、
楽しく過ごしました。
基本的には話を聞く、

ただ、コンドルさんを一度いじることができて、
笑いをとれたので満足です。
(「写真見たよ。ナイスダンスだね。」と、
昨晩の夜遊びでのことでいじらさせていただきました。
実際写真は見てません。
話で聞いていただけです。
「誰から見せてもらったの?耳打ちでいいから教えてよ。」
と聞かれたものの「それは言えないよ。」と、ごまかしました。)

18:30。スケジュールより30分遅く、皆様が集まりはじめ、
だいぶ遅れてホテル出発となりました。
乗り込んだバスは金色で、五十嵐さんの言っていた例のバスです。
警察が先導し、信号を無視してオルドスを出て空港へと向かいました。
バスでは、いろいろ疲れが出て、外をぼーっと眺めて過ごしました。

地球改造

唐突ですが、かつて世界第4位の大きさを誇ったアラル海の面積は、
現在その1/8にまで縮小し、当時の湖底は干からびた砂地となって、
不毛の土地となっています。
その砂地には、錆びた鉄の塊と化した漁船が、当時の湖岸線から、
現在の湖岸線までの間に、点々と続いています。

これは、僕が、オルドスにおける本来良いはずの緑化状況を見て、
ふと脳裏によぎった情景です。

オルドスの市街から、空港に向かう45分程の行程、
バスから見える景色(行きは夜遅く、暗くて景色は見えなかった)は
予想より緑の多いものでした。
ただ奇妙であることは、視界に入る緑という緑が、
若木の行列であることです。
別にワインの有名なブドウ園を通り過ぎている訳ではありません。
それは、緑化計画による、植えられた緑であるからです。
途方もないほどに列をなした緑が続いている。
緑でありながら、あの奇妙さは、何か気持ちの悪いものでした。

昨日、このプロジェクトにおける敷地見学に訪れました。
まだ造成もされていない砂漠に、ちらほらと緑が見られる土地。
そこに忽然と道路が敷かれ、
その両脇のみに整然と木が並んで植えられている。
それが、現在の敷地の状況です。
砂漠の砂は、鉄分を含んでいるのか、
オレンジ色に近く、手にとって指の間から落とせば、
さらさらと風に流れていくような、いかにも「砂」といったものです。
そこに木が立っている。全く奇妙な光景です。
どのようにその木々が植えられているかというと、
木の根の周りのみに、あらかじめ濃い茶色の、
なるほど水分を含みそうな「土」が纏ってあり、
それごと地面に植えているのです。
そして、肝心の水はというと、どこからともなく散水車が現れて、
ひっきりなしに水をやり続けているのです。
日差しが強く、乾燥しきったこの土地では、
水などすぐに蒸発してしまうでしょう。
それでも、それ以上のペースで水を遣り続けているのです。
ほっとけば森になるといった、
日本のような気候を持たないこと土地は、
単に木を植えただけでは緑化にならないのです。
水をやり続けなくてはならないのです。

ここで今一度アラル海の話に戻します。
重要なのは、何故アラル海の水が減ったのかということです。
それは自然にではありません。
詳しくは知らないですが、
それは、アラル海に注ぐ河川域を大綿花農園にするという、
かつてのソ連かロシアの政策による結果だということです。
アラル海に注ぐはずの水が、その前に大量に消費され、
アラル海に注ぐ量が激減したのです。
水は無限の資源ではないのです。
どこかで大量に使われれば、どこかでその分減っているのです。

今オルドス周辺は急速に緑化が進められています。
ほとんど雨の降らないこの広大な土地を、
緑で埋め尽くそうとしているのです。
僕にはそれが、良いことなのか、もしかしたら、
行き過ぎなのではないかと少し不安を覚えたのです。
僕の脳裏をよぎった光景が、オルドスの緑化のために、
今、どこかで生まれようとしているのではないかと。

藤本さんが、
前回オルドスを訪れた時と比べて、
圧倒的に緑が増えていると言って、
「どうやら人間が勝ちそうだ。」とこぼした。
そして、多分この緑化を指して、「地球改造」なる単語を言った。
人間が作り出した環境によって砂漠が広がり、
その砂漠を防ごうと人間が緑化し、「地球改造」をし続ける。
人間は勝ち続けるかもしれない。
ただしそれは、より大きな災害をうみ、
それとまた人間が闘うといった、
無限の繰り返しとなるだけかもしれない。

人間の作り出す因果応報の輪が地球規模に大きくなっている今、
どこの原因がどこで結果を作りだしているのか、
感覚的に分かりにくくなっている。
蝶の一はばたきが、
地球の裏側で竜巻になっているかもしれない―バタフライ・エフェクト。
そんなことを忘れずに、
物事を注視することを忘れてはいけないのだろうと感じました。


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