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jun igarashi architects
illustration by Midori Kambara
© 2002-2009 Jun Igarashi Architects

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大石くんのオルドスレポート④


大石くん、4日目のレポートです。
草原での朝や、
クリティックなど臨場感に溢れています。

Day 4 (27th June)

日の出

まさかパオで目覚める朝が来るとは、思ってもいませんでした。
明け方4時半。目覚ましをかけていたKAZさんに起こしてもらい、
地平線から昇る日の出を見に行きました。

パオから出ると肌寒い空気でした。
パオとは意外と気密性のあるものだったみたいです。

見上げればまだ夜の帳はうっすらと被さっていました。
東には闇のような大地が途切れたところが、
ぼんやりとオレンジになっていますが、西はまだ暗闇です。
その両側を同時に見たことは、いまだかつて記憶にありません。

刻々と変わっていく空の色。濃い深い青の下から、
輝くオレンジが重なり混ざり合う。光が大きく手を広げて、
夜の透明感を埋めていく感じ。空とは宇宙で、
地球からずっと遠くに広がっていて、その手前に太陽があって、
そこから注がれる光はやっぱり宇宙より手前にあると分かる感じ。
ひどく奥行きがあるのです。

辺りは静寂でしたが、それでも雄大で力強く、
胸を内側から破らんとするような激しさを持って、
何か人を強く湧き立たせるようなものがありました。
溢れだす命といった感じでしょうか。

そして太陽は昇ってきました。その瞬間は、
光がふっと、降ってきた感じです。
ベールをかぶった感じです。
(ホントはかぶったことはないです。
カーテンのレースにくるまった感じというのが僕の実体験です。
とにかく宇宙との間に一層増えたなと分かる感じです。)

圧倒的なまでの輝きに包まれて、
その光の塊が昇ってきた方向を見据えていると、
そこに世界、生命の始まりがあるように思えてくるのです。
すごいものでした。

その後は、1人で草原探索に出かけました。
歩けども歩けども背後からパオ村がなくなりません。

方角を見失ったら怖いというか、見失いそうにありません。
見えている範囲と動いている範囲の、
ギャップがこんなにも大きいとは驚きです。

街にいれば、曲がり角ひとつ、
ドアひとつで(今思えば大きな)変化がありましたから、
変化は実に日常茶飯事です。
少しの人の動きで、大きく状況が変わる状態が広がっている訳です。

ここは、僕が走ろうが叫ぼうが、な~んにも変わりません。
(どっちもやってみました。)
今までは、劇的な変化を(目新しさを)常に意識していた気がしますが、
すぐそばにある何かが、
全く変わらないでいることがここまで劇的だとは思っていませんでした。

10:00。草原を後にし、オルドスへ帰りました。
大満足です。後は砂漠です。(今一度すいません。)

クリティーク

クリティック

ホテルに着いたのはちょうど正午をまわった頃です。
クリティックは16:30からなので、
昼飯の後、部屋でイメトレに入ります。
あぁ来たらこう応答だ、といった具合です。
ただ、予想より遥かに一瞬でクリティックは終わってしまいました。
まず、要点の書かれた紙が渡されました。そこには、

1. Good.
 
良い。

2. Design based on climate adjustment is proper,
  however vertical air movement and filtered light need further study.
 
気候に適応したデザインは適している。
ただし、鉛直方向の空気の移動や、
トップライト(釣り天井、梁)を通して落ちてくる光に関しては、
更なる検討(前進)が必要である。

3. The relationship to its neighbors is not sensitive.
 
隣家との関係性への意識が足りない。
とだけ書かれていて、それをFAKEの若いスタッフさんが読み上げて、
じゃあ頑張ってきて下さいね~、といった具合でした。
8人ほどいたと思いますが、話をしているのは、
その若いFAKEの方と
フィル(シロクマさん、UNIの人がつけたあだ名)のみです。

あとは、こちらを見ることなく何やらおしゃべりです。
ぽか~んとしている僕に、
「後は~、構造とか、建築費用の算出とかを出してきてくれ。」
「とにかく進めてくれればいいよ。」といったこと付け足されました。

構造という言葉にはっとして、構造に関しては、
構造家の長谷川さんに鉄骨の配筋を割り出してもらっていて、
このプランで実現できるということを説明しました。

・・・が、反応は特になしです。はい分かった、という感じです。
それでほんとにやり取りはおしまいです。あれ?終わり?
という顔をしながら僕が立ち上がると、
それまでぺちゃくちゃ内輪話をしながら
全くこっちを見ていなかった中国人の方々が、
「ね~、早いよね~」と言うかのようにすごい笑顔で僕を見送っています。

さらに、部屋のドアに向かって振り返ると、
僕の後ろで一人ソファにどっしりと座っていた
FAKEナンバー2であろう方(クロクマさん、UNIの人がつけたあだ名)が、
これまたものすごい笑顔とアクションで、グーサインを僕に連発しています。
会場は爆笑です。

まぁなんだかんだとっても良い評価をもらったのだなという印象で、
部屋を後にしました。 

あっけにとられてしまっていて、後々考えると、第3項目に対しては、
異論を唱え、認めさせるか、今後のために、もっと情報を、
何がどう駄目なのかというところを、聞き出してくるべきでした。
失敗です。
とにかく、更なる情報はまたe-mailで送ると言っていたし、
そちらに期待するとします。

部屋の外にでると、
敷地がお隣さんのスイス・バーゼルから来たHHFの方がいて、
「僕らお隣さんだよ。よろしく。」と声をかけてくれました。

クリティックの内容を聞かれ、本当に短かったと応えると、
「君たちの作品がベストだって、アイウェイウェイが言ってたよ。」って、
雰囲気から察するに多分社交辞令だと思いますが、
まぁいい評価はしてくれてたとみていいかと思います。

それで、「ブックがあったら見せてくれないか。」と言われたので、
急いで部屋に戻って、自分のブックを持ってきました。
「窓はホントにないんだ・・・。換気はどうするの?」
「全部機械です。でもほら、こうして隠してある。」、
「うん、この断面図いいね~。
・・・この高い部屋が僕はすごく好きだよ。」という感じに、話をしました。

どうやら彼はクリティックの部屋の前で張っている様子、
「ありがとう。それじゃまた、お隣さん!」と言って、
次の人のところに声をかけに行きました。

これでオルドスでの僕の仕事はまぁ終わった訳です。




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